昨晩、心がポキリと折れた。シガーチョコのように軽くて脆くなっていたのか、心は軽い音を立てて折れた。別にこの半年に比べれば、さして何があったわけでもない、後少しの時間、同じ空間にいる人からその時に伝わった、僕を疎外したい気分がそうさせた。もう、こうなると、僕は本当に、なにも手が動かなくなる。
彼女は、この半年、どんな約束も守らなかったし、今だってそうだ。自分の都合の悪い事になると、すぐに顔を曇らせ自分の意思を主張する事を怠らない。それを見て自由な人だなと思う。この半年、僕があいつを憎めれば殺すことさえ出来たかもしれないが、そんなふうに憎めもしなかった。ただ自分が壊れていく時間だけが過ぎた。そのぶんあいつも壊れただろうし、そう主張もされた。ただし、あいつには逃げる場所もあったが、僕がどんな逃げ場所も失った事だけは確かだった。そして呆然としていた。ただある日に、それを受け入れることを誓って部屋を出て、残された時間をフィクションのようだったが随分と楽しく過ごしていた。でもそれで十分だった。
昨日の彼女の勝手を責める訳でもない、よくあることだ、些細なこと、かすかに触れられたもので僕だけがポキリと折れたのだ。だけれども、もう僕が同じ場所には戻れないこと、戻りたいと思わないことを知りながら、一体あいつは何で、こういう気分を、僕に伝えたのだろうか。ただ、夜ご飯を食べていた。不機嫌そうな顔をした彼女に、もう他人になった自分とご飯を食べることが、そんなに嫌なのかなと聞いた。嫌ならそう言えばいい、だったら僕は外でご飯を食べてくる。それに言わせてもらえば、僕もお前という他人のせいで全ての場所を失ったのだと言った。そしてどうしようもない気分で眠った。だけれども起きても心は折れたままだった。もしかしたら元から折れていたのかもしれない。
来月から住んだ事もない街に住む。今やっている仕事だけに関して言えばコストと時間面でのリスクは大きくなるだけ。だが、そう決めたのは、この今いる東京にあいつと共犯でありながら、誠実に僕が話す声にさえ怯え、電話を通してさえ僕と話しも出来ないヘタレの男の声が「ある」ということを思うと、こんなクソ忌々しい場所にはいたくないと思ったからだ。後の理由は、それを事後に正当化する為に付け足したにすぎない。自分が傷つきたくないからって、他人を生殺しにし、それで自分がやさしいと思い込んでいるような、クソの声が「ある」場所にいたら、俺の誓いが報われない。もう誰も憎まない、この事で悲しまないと決めていたはずなのに、嗚咽のように込み上げて、僕を締め上げるこの気持ちはなんだろうと思う。僕に彼女を私有したいという欲なんかもうないのに、なんやねんこの気持ち、ほんまけったくそ悪いわ。
今日のこれは愚痴です。眠りは心を濾過してはくれず、最悪の気分のまま目が覚めたという日。