ある日のこと、まだ薄暮の時間を待つ割れた時間、「燃えない」とされているゴミを出しにいくという当番を果たすべく外へ。暗い中、瓶はこっち、ペットはこっちと指定に従い、袋を分けてそれぞれの場所に置き、その他が入った袋を置いて、カラスよけの緑のネットをかぶせ、はい完了と思いきや、少し早い新聞配達の男性が自転車にて出現。「はやいですね、はいこれ」と新聞をやおら僕の目の前に差し出される。僕が、「あのどうしてですか?」と聞くと、男性は「いっしょでしょ、あのポストにいれるんだもん。」と僕とは違う家を指差して答えた。もちろん僕は新聞を購読はしていない。僕は「あの、そことは違う場所に住んでいるので・・・」と、曖昧ながらも、僕にもらう資格がないことを伝えると、男性が「あー、ここの人かと思った。」と言いながら、僕の手と男性の手を一往復して、新聞は再び正しい位置に戻った。男性、あっちを向きながら、「なんだー。」といいながら、自転車を進めた。そして、またもや、やおら!、やおら!である。男性は自転車を止め、振り返り様に「やっぱ、あげたものだから、あげる。」と言い、新聞を僕に渡しながら。「今日だけだよ。」と付け加えた。僕はその後、家に戻って、「ええことあったわー、特殊な理屈のラッキーディやで、今日。」とのたまう。まあ、「あげても、もらっても」、本来それはやってはいけないのかもしれないが、新聞の購読を検討する時にたくさん見本紙が配達されることを考えれば、これも未本紙として僕が捉え、今後購入を検討するとして、取りあえず感謝。僕は、これから彼を「ロマンチックあげるよのおじさん」の呼ぶ事にする。
森岡書店での展示のDMに使う絵が書けないので、毎日困っています。が、今日は華雪の搬出を手伝いに、レンタカーを借りて、資生堂ギャラリーへと向かう。到着してから事情があって、車から降りた。そして、再び車が迎えに来た時には、搬出に必要な男性の人力としては僕は用無し、搬出は全て終えられていたのだった。「お買い物とかできましたか?」との問いに、かねがね発音してみたかった「銀ブラ、してた。」と、返答した。「銀ダラ」とは、本来魚であるが、銀座でダラダラしてましたと、相当な親切をもって読み解いてもらえるなら、「銀ダラ、してた」が、真実でした。なぜなら、その間の僕は、極度な方向音痴のため、待ち合わせを指定された場所に戻る事を考えると、その場所からそれほど離れる勇気がない割に、そこから近いブロックで一度方向を失い、そして道に迷い、人に道を聞いたりして指定場所へなんとか帰り着き安心し、もう一度歩き始めて、また遠くに行くと困るので、かなりゆっくり歩いていたのだが、ゆっくり過ぎて立ち止まるとどちらから来たかを忘れ、また迷い、同様にして指定場所へ戻るという、2度迷って時間を過ごしていたのだから。
もはや夏と認めずには、おられぬ日差し。事実、外では夏が、まっさかりなのです。炎天下、家の中で、エアコンのきいた部屋ばかりにいると、それも忘れることもある。また、日差しを期待して、心の準備までして、汗をふくようにタオルまで持って出た場合に、蒸し上がったような熱気に降る雨という日もある。汗も出るわ、雨にもぬれるわ、わやくちゃである。仕事場では、なるだけエアコンをかけず、汗をかきながらやっている。不快だが、そのほうがずっと体調は良い。ただし、汗だくなので見た目は相当に悪い。それもそんなに動いていないのに汗だくの様が、その燃費が悪さを露呈し、これがまたアメ車みたいでもあるが、アメ車みたいにかっこよくない点が問題なのと、贅肉付き筋肉仕掛けの動力としての自分がエコではないことを、いかんともし難く他人に披露することとなる。なので、他人が来る場合には、積極的にエコではないエアコンを入れる。
長野の山奥に行く機会があった。谷間の大きな古い家で、夜中にふと目がさめると、物音はせず、ただ虫の音にかこまれていた。録音機器を持っていっていたので、それに一瞬手がのびたが、僕自身が、録音の準備の為、横になったままの体勢を起こし、機材を設置をした上で、もう一度同じ音を聴く自信がなかったので、横になったまま、もう一度眠くなるまで、その音聴いていた。朝になると、遠くからも生活や仕事をする人の音が聞こえていた。朝も虫は鳴いていたが、夜に聴いた程、大きくはもはや聴こえないかった。あれについては、たぶんあれで良かったのだ。僕が動いた場合、虫の音は変わらなくても、僕自身の調律が変わってしまうように思えて、正直微動だにできなかった。その理由は、気持ちよかったから単純にもうちょい聴きたかっただけという怠惰。
こういう場所のこういう季節は、緑が強い。きっと、たえず人が割ってはいらないと、すぐに緑が生活の為の空地を飲み込んでしまう。そのようなアンバランスさに人が関わり、場所が維持されている。当地の地酒は「ウバステ正宗」。前回来訪時からラベルチェンジあり。前の方が、配色がサイケデリックで個人的には好きだった。味は甘口だが、わりとさっぱりで、飲みやすく、美味しい、特にここで飲むと酔いやすい。そのあたりには、ウバステの伝承があり、同様の地名が残っている。帰り道に、家につみあげられたままの段ボール、その中の本をどうにかしようと、本棚を3つ買う。
酒を飲んだ。いつもより量は全然少ない。とても少ない。だが、歩けば足下がふらつき、電車では立ったまま眠ってしまった。いつもは、どんだけ飲んでも滅多にそんなことはない。「立ったままのなんとか」なんだっけ、ランボーだっけ。。僕の場合は、「立ったままのおっさん、膝をかっくかっくしながら、同様に左右にバランスを崩しながら、他人に押されて立たせてもらう。全く自立心のない迷惑な物体として、恥ずかしくもブルージーなことになっていた。